《トピック》
これまで検索テクニックとしてJDreamIIの機能を中心にご紹介してきましたが、今回は少し視点を変えて、検索の着眼点と検索結果を活かす着眼点について考えてみたいと思います。まず初めに、これから研究テーマを見つけようとしている場面を思い浮かべてください。
「新しい研究テーマを探す」という設定なので、今まで取り扱っていないテーマを調査することになります。この場合、
問題と思われる点は、①他者の取り扱っていないテーマをいかにして見つけるか、②そのテーマを取り扱って本当に成果とすることができるか、③本当に初めての分野であれば検索キーワードもはっきりと分からない可能性が高い(思いついたキーワードが必ずしも良いキーワードではない可能性もある)、④新規テーマなので長期的な視点を入れなければならないかもしれない、の4点です。では、これらの点を踏まえて考えてみましょう。
探すべきことが分かっていないので、いきなりデータベースで検索するというわけにはいきません。このような場合は自ら取り扱いうる分野について、まず他者を含めた研究動向を俯瞰して見るのが良いと思います。JSTのサービスでは
AnVi seersがこのような状況を打開するのにお勧めです。AnVi seersは範囲をあまり絞り込まず、広めに情報を取ると良いでしょう。どのようなデータ集合を作るかはJST担当者にご相談いただければと思います。このAnVi seersのスケルトンマップ等を利用して、どの機関とどの機関が連携しているのか、どのような研究テーマが研究されているのかなどを確認します。この際に何人かで議論をすることで、より状況が把握しやすくなるようです(
活用事例を掲載していますのでご参照ください)。AnVi seersの詳細はここでは説明しませんが、現在キャンペーンも行っていますので、ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。
さて、全体を俯瞰し、ターゲットとするテーマの目星をつけたところでJDreamIIを使って詳細な検索を行います。ターゲットとするテーマのキーワードは、2009年11月2日にリリースしたAnVi seersの新機能を使って確認できます。AnVi seersのグラフやマップから、気になる集合部分の文献について記事タイトルを見ることができ、さらに、詳細情報(出典・抄録・索引など)をJDreamIIとの連携によって確認することも可能です。まずは、この機能を活用してタイトルを確認した上で、数件の詳細情報をチェックしましょう。
タイトルに出てくる用語やシソーラス、準シソーラス用語から、検索キーワードが決まったらJDreamIIで検索します。この段階ではあまり絞り込まずに少し広めに検索し、もれなく情報をつかむことが重要です。検索したら、前号で紹介した頻度分析機能を活用して、どこで、どのような研究がなされているかを確認すると共に、最も多く出現する著者や用語の含まれる記事を調べることで、様子をつかむことができます。
さらに、もう一歩進んでみましょう。ここから先はJDreamIIの機能で実現することではありませんが、ヒントをつかむには良い方法です。
まず、あまり利用されたことはないかもしれませんが、JDreamIIの記事には、例えば「BK14040E」というように、各文献の内容を区別するための分類コードが付与(24分野3,068分類)されています。特許検索におけるIPC分類やFタームをイメージしていただけるとわかりやすいでしょう。前述のコードは「半導体薄膜」を示しています。
今調べている分野と異なる分野のコードが付与されている文献があった場合などは、異分野連携の可能性が示唆されているか、もしくは連携が行われつつある可能性があると言えるでしょう。将来の新規分野への参入といった有望な情報を得られる可能性も有るわけです。
表1.抵抗スイッチング
年 |
出現回数 |
2009 |
57 |
2008 |
37 |
2007 |
17 |
2006 |
7 |
2005 |
3 |
2004 |
1 |
2002 |
1 |
また、キーワード(シソーラス用語や準シソーラス用語)の中にヒントが隠されている場合もあります。
その分野では見かけない用語が出てきた場合や、特定の用語の出現頻度が増えている場合などです。
右の表1は実際に「記録媒体」に関する検索結果から「抵抗スイッチング」という用語の準シソーラス用語出現頻度を表にしたものです。2007年から急激に件数が増加していることが分かります。詳しく調べると関連すると思われる「抵抗変化メモリ」という用語も、2008年から出現頻度が増加していることが分かります。このように
今までほとんど出ていなかった用語の増加など変化の兆しをつかむことができれば、研究の方向を考える際の参考となるのではないでしょうか。
このように、用語の出現頻度を確認するためには、多くのデータを利用することになります。忙しい業務の合間をぬっての検索やデータ整理など、手間を考えると大変な労力と思いますので、ご希望がございましたら料金等を含めて、JST担当者までお問い合わせください。
それではここで、今回のポイントをまとめてみましょう。
Point.1 全体を俯瞰してターゲット候補を探す(AnVi seersなどで見える化)
周囲の方々とAnVi seersを囲んで議論をすると効果が高まる
Point.2 JDreamIIで候補のテーマ詳細を確認
Point.3 分類コードを確認し異分野連携の可能性を探る
Point.4 キーワードの出現頻度により変化の兆しをつかむ
これらの情報は、いつ、どの分野で得られるのかは分かりません。調査したタイミングで必ずしも有力な変化の兆しなどを得られるかは分からないわけですが、定期的に確認することで、重要な兆しを見落とす確率を減らすことができるはずです。
つまり、
常日頃から新しい動きをチェックすることで良いテーマを見つけることができ、研究中も方向性を補正しながら成果につなげられるのです。
これまでのJDreamニュースの中で紹介したように、JDreamIIには登録した検索式で定期的に最新情報を配信するユーザSDIなどの便利な機能もご用意しておりますので、このような機能を併せてJDreamIIを存分に活用していただきたいと思います。