活用事例のご紹介【Case Studies】

各種JST製品を活用されている「ユーザの生の声」をお届けします。導入検討や活用方法についてお悩みの方へ、有効活用されている実例をご紹介します。
JDreamII
2010年3月31日現在

無添加化粧品のパイオニア
JDreamIIが支える、安全で安心な製品づくり
株式会社ファンケル 総合研究所 様

株式会社ファンケル総合研究所の外観

横浜市戸塚区に位置する株式会社ファンケル総合研究所の外観。ここから多くのファンケル製品が生まれていった。
  1980年の創業以来、一貫して「無添加」にこだわり続け、安全第一をモットーに、お客様に安心して使っていただける化粧品の開発に取り組んでいる株式会社ファンケル。さらに90年代には、それまで高価格で一般に馴染みの薄かったサプリメントを、高品質かつ低価格で販売し、健康食品を一気に身近なものにした。
 このように、無添加化粧品のパイオニアとして、健康食品の先端企業として、今もなお多くのお客様に支持される背景には、研究開発の段階から徹底した安全な製品開発に取り組んでいる「総合研究所」の存在を抜きにしては語れない。
 長年、文献情報検索の第一人者として同研究所に勤務している、研究推進室 管理グループの山中とも子氏に、文献検索の重要性とJDreamIIの活用方法について伺った。

総合研究所は製品開発の心臓部

 肌が敏感な方も安心して使えるような「無添加で安全な化粧品をつくろう」という考えから始まったファンケルでは、化粧品、健康食品の枠にとらわれることなく「食べる化粧品」「顔に塗る健康食品」など独自の発想に基づき、内外美容の観点からオリジナリティの高い製品を世に送り出し続けている。その開発の中心にいる総合研究所は、化粧品研究所、健康食品研究所、基礎探索研究所、安全性・品質研究センター、学術研究室、研究推進室の6つの部署から構成される、まさに製品開発の心臓部だ。
 「私どもの総合研究所は、化粧品や健康食品の製品開発や、将来を見据えた基礎研究、原材料の安全性や開発品の品質をチェックしたり、開発に関わる基礎調査など業務は多岐にわたります。研究所全体で150人ほどの小さな所帯ですが、ここから多くの製品が生まれました。ファンケルでは“安心・安全”をモットーとしていますので、製品開発に一切の妥協は許されません。そのために何度も繰り返し徹底したチェックを行っています。単なる化粧品ではなく、『無添加』ですのでなおさらです」と山中氏は口を開いた。

ファンケルが考える無添加化粧品とは

無添加化粧品

原料の安全性調査を十分に行い開発された無添加化粧品の数々。前方右のマイルドクレンジングオイルは「2009年@cosmeベストコスメ大賞クレンジング部門」で一位に輝いた人気製品。
  昨今の自然派化粧品ブームにのり「無添加」を名乗る化粧品は世に数多くあるが、厚生労働省による明確な基準はなく、各メーカーの判断に任されているのが実情だ。
 「ファンケルでは、防腐剤や香料などの旧表示指定成分(化粧品に配合する場合、アレルギーを起こす恐れのある成分のことを指す。表示義務は2001年に廃止、現在は全成分表示が義務付けられている)は勿論、その他皮膚刺激や肌ストレスになる可能性のある成分は一切使用していません。そのため、新製品の開発には当社独自の安全性基準(FANCL SAFETY STANDARD:略称FSS)を設定し、配合する原料レベルから製品に至るまで、各段階で厳しいチェックを行っています。まず使用する原料は一つ一つ毒性試験などによる安全性データと、原料に含まれる成分(化合物)の安全性情報などを審査し、合格した原料のみが使用できます。また試作品についてもパッチテストやモニターテストなどにより、敏感肌の方にも使用できるかどうかの確認を行います。このように各段階でFSSの基準に合格した試作品が製品となり、厳しい品質管理のもと、自社工場で秤量から包装まで一貫して製造され、無添加化粧品として市場に出て行くのです」との山中氏の言葉から、ファンケルの無添加化粧品に対するこだわりを知ることができた。

安全性確認の第一歩は文献検索から

 「この原料審査に提出するデータについてですが、化粧品研究所(健康食品の場合は健康食品研究所)が化合物ごとの文献情報の収集を研究推進室に依頼してきます。その結果やその他の安全性情報が審査にかけられ、適正な化合物か否かの判断が下されます。使用可の場合は、すぐに試作品づくりといった次の段階に進めますが、NGだった場合は、同じような成分や働きをする別の化合物を最初からチェック、一からやり直し。ただ、製品の発売日は事前に決めているので、手間もかかりますし、限られた時間内でスムーズに検査をクリアするためにも、候補となる化合物をいくつか想定し検索を依頼してきます。さらに、他社の特許に抵触しているかどうかも重要です。特許が出されている成分は回避しますね。ところで、研究推進室の業務は研究開発支援がメインであり、特許出願などを行う知的財産グループと、研究管理を行う管理グループの二つに分かれています。私が所属している管理グループは7名ほどですが、情報検索担当者(サーチャー)は私だけです。簡単な検索は各自で出来るよう指導していますが、原料審査に提出するような化合物の安全性や複雑な検索は私が一手に引き受けています。まずはJDreamII等で文献情報を収集します。依頼件数も多いですし、きちんと調べなければならないので大変です」と、文献情報が製品開発のベースになっていることを、原料審査の流れに沿って説明いただいた。  

国内の文献情報の収集にはJDreamIIを

(写真左)発芽米(写真右)HTCコラーゲンテンスアップEX

(写真左)発芽米は有効成分や効果効能のデータを積極的に収集し、カタログやPR誌への掲載に役立てている。
(写真右)美時などのサプリメントの開発にも文献情報が有効活用されている。HTCコラーゲンテンスアップEXは中国でも大人気。
 また「JDreamIIは私以外にも、研究者が活用しています。自身の研究開発に関わる簡単な文献については、JDreamIIを使って研究者自ら検索するよう指導しています。また、研究分野が違うと用語も違うので、専門分野外の文献は読むのに苦労します。海外の文献を探すにも、英語だとなかなかキーワードが浮かびませんし。そんな時もJDreamIIが活躍します。JDreamIIは日本語で抄録が付与されていますし、日本語でのキーワード検索ができるのでとっても便利。検索初心者が最初に触れるデータベースとしても適しています」と、研究者にとってもJDreamIIは使いやすいデータベースであるとことが分かった。



SDIで定期的に情報をチェック

 さらに、化粧品の開発に欠かせない化合物の安全性については、ユーザSDIを登録し、定期的に情報を得ているという。
 「JDreamIIは国内の学会情報などが充実しているので、化粧品関連の安全性について、ユーザSDIでチェックしています。化合物や皮膚科学の情報の確認は欠かせません。SDIに検索式を登録しておけば、月に2回、最新情報が定期的に配信されるので検索の手間が省けて便利ですし。また、弊社ではJDreamIIを固定料金契約しているので契約料金内で利用できるので助かっています。ここで得る情報は、研究者も有効活用していますよ」

社内でのJDreamII利用を促すために①・・・・検索教育の実施

山中氏

望んでいる文献情報がピタッと出た時に、大きな喜びとやりがいを感じるという山中氏。頭で検索の流れを組み立てて、複数のデータベースを組み合わせて検索を行っている。今後は一歩上をいく「研究の方向性を決めるような、経営者的な視点での調査」を行うのが目標という。
 このように総合研究所内において、JDreamIIは情報検索者のみに留まらず研究者の多くに利用されていることがわかるが、その裏には山中氏の知恵と工夫が施されている。
 まずは「新入社員や参加希望者を対象に年1~2回、研究推進室でJDreamII講習会を実施しています。時間は1時間半程度で、マニュアルはJSTの資料(検索ガイドほか)を使います。これ以外に調査テーマを設定し、JDreamIIだけではなく、他のデータベースを含めての総合的な教育も行っています。JDreamIIは、簡単に操作ができるシンプルモードを説明しています。検索項目や回答表示の指定を始め、殆どの機能をプルダウンメニューやマウスクリックで操作できて便利ですね。受講者にとって、JDreamIIのメニューは違和感なく使えるので重宝しています。ただ最近は皆、検索に慣れているので、googleなどを利用する要領で検索して、それで完全と思ってしまう傾向がある。それを正し、正確な文献情報を得るための検索方法を教えています。大体は違和感なく、基本的な検索はできるようになります。研究者の検索のスキルをアップさせるのも今後の課題ですね」と社内教育の必要性と今後の課題を述べられた。

社内でのJDreamII利用を促すために②・・・・毎月の利用可能残額を提示

 さらに、JDreamIIの利用を促すために、JST(※1)から送られる月別利用状況を加工し、社内イントラネットに掲載し有効的に活用している。
 「JSTの営業の方が毎月半ば頃に送ってくださる月別利用状況(IDごとの月別利用状況、全体の契約金額に対して、利用上限額、実利用金額、残り利用可能額をまとめたもの)を加工し、JDreamIIを利用するようにと研究者のお尻を叩いています。いただいた表に色づけなど行い見やすく加工し、これを月末、社内イントラネットに掲載します。『あと○○円使えるので積極的に利用してください』と情報を提示にすることで、安心して利用できるようです。研究者などにはログインする際に必ず“利用者名”を入力するように指導しているので、誰がいくら使っているかも明確になります。イントラネットへの掲載はここ4~5年実施しており、確実に効果はあがっていますね」
「昨年(2008年)度末に経費節減の一環で、社内で図書費削減の通達がありました。図書費を削られるのは痛いことですが、だからこそ今JDreamIIを使ってもらえる状況だと思います。通達があった時もイントラネットでJDreamIIの利用をさらに促しました。値段を気にせず使えるので・・・・・・とはいえ上限はありますけど(笑)。国内の文献はJDreamIIでチェックし、必要な文献は該当部分のみ複写サービスを申し込めばよいですし。それでも他の部分も読みたいという時は、入手した複写データを検証した上で、本当に必要ならジャーナルを購入すればいいんです。ただ、海外の情報も欠かせないので、JDreamIIで補えない部分はジャーナルを定期購読しています」
 このように経費節減という厳しい状況の中、上手くJDreamIIを活用していることが分かる。
月別利用状況

毎月末に社内イントラネットに掲載の「JDreamII、文献複写利用実績」。添付のエクセルファイルを開くと利用状況が一目でわかる。
【注釈】 ※1 月別利用状況の送付については、固定料金契約のお客様のみのサービスとなります。

複写サービスの利用で素早い対応

 研究者が必要な情報を素早く入手したい時はもちろん、お客様からの問い合わせに対し迅速な対応をしなくてはならないことがある。簡単な質問ならお客様窓口で応えることができるが、インターネットの普及などにより最近の消費者は情報が多く、学術的なことも聞いてくることがあるという。そんな時は、JSTの複写サービスが大いに役立つとのこと。
 「例えば、○○は発がん性がないのかどうか、といったお客様からの質問に対しては、窓口でいったん預かり、担当が研究所に聞いてくるので、すぐに調べて応えなければなりません。お客様窓口は製品の知識はありますが、化合物や成分といった学術的なことまではカバーできません。いい加減なことは答えられませんし、論文などの裏づけがないと正確な回答となりません。JDreamIIなら必ず論文が取り寄せられますし、エクスプレス複写サービスなら申し込んで1時間以内を目処にFAXで回答が入手できるので大変助かっています。お客様への対応はスピードが肝心。他にも複写サービスを行っている会社はありますが、JDreamIIでヒットした論文は、確実に安く入手できるので、JSTの複写サービスのみ利用しています。なお、複写サービスの利用申込みは各自に任せていますが、誰がどれだけ使ったかは私のほうで把握しています」

固定料金契約のメリットを活かすには

  このように日々の文献情報検索やユーザSDIサービスなど、JDreamIIをふんだんに利用できるのも、固定料金契約だからこそできること。
 山中氏は、「我が社が固定料金契約にしているのは、研究者が料金を気にすることなく利用できるからです。研究者自らが必要な情報を入手することは重要なので、研究者が検索することを推奨するのに便利な契約形態だと思います。また固定料金契約のメリットを充分活かすには、使う(使わせる)努力が必要です。そのためにもお話したように、講習会を開いたり、イントラネットを有効活用しています。契約金額は決して安くないものですから、多くの研究者にもっと利用してほしいですね。定期的に開催する講習会後の練習として使ってもよいですし。ただ、JSTさんにお願いですが、契約金額の5倍を使うのは大変です(笑)。少しでも契約金額を安くしてもらえると嬉しいですね。私どもはJOIS時代から利用しているのですが、例えば長年契約するほど割引率が上がるような制度があったらいいなと思います。また、複写サービスの利用も多いので複写サービス料金を固定契約料金に含んでいただけると嬉しいです。難しいでしょうが、どうにかなりませんか?」と、JSTへの要望を述べられた。
 最後に、「色々と勝手なことを言いましたが、JDreamIIは我が研究所にとって重要なデータベースなので、より良いサービスを期待しています」 と、締めくくられた。
 
 JDreamIIのサービスを効率よく使い、その情報を製品開発に生かしているファンケル総合研究所。これからも、JSTはより良いサービスで同研究所を支えていく。

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